研究概要 |
本研究では,HPLCによる脂肪酸分析法に用い,I運動誘発心筋虚血の早期検出に血中遊離脂肪酸の測定が有用であるか否か,2.心筋虚血時に血中遊離脂肪酸構成に変化が見られるか否かについて検討した。 安定労作狭心症患者8例を対象としてコントロ-ルでは中等度狭心痛を運動終点に,nilvadipine投与後にはコントロ-ルと同一運動時間を運動終点とする多段階臥位自転車エルゴメ-タ運動試験を施行し、以下の成績を得た。 1.心筋脂肪酸摂取率は安静時21.1±4.4%に比し最大運動時8.1±2.1%と有意に低下した(p〈0.05)。 2.動脈および冠静脈洞血中の脂肪酸構成は虚血により有意な変化を示さなかった。 3.心筋乳酸摂取率は安静時21.6±2.7%,最大運動時22.2±3.3%と有意な変化を示さなかった。 4.Nilvadipine投与により胸痛発作の消失ないし軽減,虚血性ST下降の有意な軽減を認めた。 5.Nilvadipine投与後の心筋脂肪酸摂取率は安静時25.3±2.7%,最大運動時21.3±3.6%と有意な変化を示さなかった。 以上より,心筋脂肪酸摂取率は心筋乳酸摂取率に比して早期の運動誘発心筋虚血の指標となりうると思われる。
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