研究概要 |
内膜由来弛緩因子(EDRF)は血管内皮細胞から産生される強力な血管弛緩物質である。最近その本体がNOであるとする仮説が提出されたが薬理.生化学的にEDRFとNOが一致しない点も多くNO前駆体RNO又はRSNOがEDRFではないかとの仮説が出されている。今回の研究ではこれに焦点をあて行った。 マクロファ-ジ(cytotaxic activated macrophages)又は炎症白血球(inflamatory neutrophils)ではEDRFに類似したMDRF,NORFという物質がオ-ガンバス中では放出されていることが判っていた。我々はこのM(N)DRF以外により安定な新しい血管弛緩因子がこの中に産生されていることを見出した。これを上清因子(Supernatant Relaxing Foctor,SRF)と名付けた。このSRFは大動脈片のguanosine 3'5' cyclic monophosphate (cyclic GMP)を上昇させた。弛緩因子活性はSuperoxide Dismutase(SOD)で増強された。活性は又hemoglobin,hydroquinore,methylene blueで抑制されたがcatalase,mannitolでは抑制されなかった。炎症白血球をAspirin,quinactine,metyrapone,AAー861と反応しても弛緩活性には影響なかった。Lーarginineは濃度依存的にSRFの弛緩活性を増強した。一方N^<Gー> monomethylーLーarginine(LーNMMA)は活性を抑制した。この抑制はLーatginineで拮抗された。反対にLーarginineもLーNMMAもNDRFの活性には影響を与えなかった。 以上の事からSRFはLーanginineからNO以外にSRFが生成されている事が明らかになりその構造式の中にNOを含む事が判明した。
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