研究概要 |
アポEの多形型の一般的タイプであるアポE3の299個のペプチド鎖のうち、238ー252番目のオリゴペプチド(Ag E3)とその変異アポE7(Glu 244,255→Lys 244,245)の同領域のオリゴペプチド(Ag E7)を合成し(Ag E3:GluーValーArgーAlaーLysーLeuーLysーLysーGlnーAlaーGlnーGlnーIleーArgーLeu,Ag E7:GluーValーArgーAlaーLysーLeuーGluーGluーGlwーAlaーGlnーGlnーIleーArgーLeu,外注以来)し、牛血清アルブミンとカップリングさせて、家兎により抗体を作成した。しかし、これら2つの抗体はアミノ酸残基数15のオリゴペプチドのうち2つのアミノ酸しか異ならないため、作成した各抗体によるアポE3とアポE7の両ペプチドの分別はできないことが明らかになった。また、本課題研究中に他の研究者により報告されているアポEと結合するといわれている受容体タンパク質の分子量やそれが溶出されてくるイオン強度などが類似したタンパク質を遺伝性の肥満ラットで著しく増加していることを見つけた。このタンパク質はラットの肝臓の細胞質画分から部分精製され、分子量は120kDであった。このタンパク質は、ミトコンドリアにはなく、細胞質に極在することが明らかになった。また、やせのZuckerラットやウィスタ-系のラットで絶食に続く再摂食の飼料に高炭水化物食を与えるとこの120kDタンパク質が著増するが、高脂肪食では変化しないことが明らかになった。すなわち、この120kDタンパク質は、脂質合成に伴って誘導されるタンパク質であることは明らかであるが、これがapoE3やapoE7を認識する受容体タンパク質であるかどうかの関連性は今後に残された問題である。
|