研究課題/領域番号 |
02670410
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
栗山 哲 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60153384)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | Ca pump / Na pump / SHR / Hypertension / Vasaular smooth muscle cells / culture / vascular smooth musde cells / 血管平滑筋細胞膜 / NaーK pump / Caーpump / NaーK contransport / NaーH antiport / 増殖 |
研究概要 |
著者は平成2年、3年を通じ高血圧症での血管平滑筋(VSMC)、と腎メサンギウム細胞膜(MC)固有のion transportの異常を明らかにしてきた。また、これらに加えて高血圧血清中に存在する何らかのion transport刺激因子についても検討を加えてきた。これらの研究成果を箇条書に要約してみる。 1)SHRのVSMCあるいはMCではNaーK pump、NaーH antiport、NaーK cotransport、 ^<45>Ca uptake等のion transportのいずれもがWKYに比べ増加している。また、このなかで観察されたSHRの細胞での ^<45>Ca uptakeの増加は、Ca^<2+> influxの増加に呼応したCaーpumpの活性増加を惹起している事が推察される。 2)SHR VSMCは、同条件下でWKY VSMCに比し著しく増殖する。この事から高血圧症の血管平滑筋細胞はその増殖能に固有の特色を有する事が判明した。 3)SHRの血清中には、VSMCのNaーK pumpを刺激する何らかの液性因子が存在する。この因子は一元的にはNaーH antiporterの刺激因子である事が判明した。 4)インスリンは ^<45>Ca uptakeを増加させるが、この増加は細胞内遊離Caの増加を惹起する。 5)4)のインスリンの作用はSHR VSMCあるいはMCで低下していた。この事から高血圧症の細胞では ^<45>Ca transportに対するインスリンの抵抗性が示唆される。 以上の様な事柄から以下の結論が導かれる。 すなわち、1)高血圧症の細胞ではNaーH antiportを代表する受動的ion輸送の亢進が見られ、これが引金となってNaーK pumpやCaーpump活性を亢進させている。つまり、遺伝的に規定された受動的ion透過性に異常がNaーK pump等の能動性輸送の活性亢進に結びついているわけである。2)高血圧症の血管平滑筋では自動的にその増殖活性の亢進が見られる。これは、上記のion輸送の異常により惹起されている可能性(NaーH antiportの亢進)がある。3)高血圧症血清中にはNaーH antiportの刺激を介してNaーK pumpを刺激している因子が存在する。4)高血圧症の細胞ではCa transportに対しインスリンの作用減弱すなわち、抵抗性が存在する。上記実験結果は、数回の学会発表と数編の論文にまとめられた。
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