研究概要 |
キラ-細胞の標的細胞傷害機構の解明、ならびに抗腫瘍免疫療法を発展させるためには、長期継代培養が可能なキラ-細胞クロ-ンを得ることが不可欠である。本研究ではヒトキラ-細胞クロ-ンを作成し、サイトカイン存在下での長期生存と増殖について検討し、さらに細胞増殖遺子でもある癌遺伝子導入による長期培養株の樹立方法について研究した。キラ-細胞クロ-ンの作成は、寛解直後の急性白血病患者骨髄液よりmonsnuclear cellを分離し、単球とB細胞をそれぞれプラスチック付着とイミュノビ-ズ法にて除去した後、Percoll比重遠心法によりLGL分画を採取した。さらに、CD3陽性細胞をイミュノビ-ズ法にて除去後、0.5cell/0.1mlに稀釈調整した。96穴平底プレ-トを用い,放射線照射したPBLと,EBVーtransformed LCLをfeeder cellとして、vILー2を加え、limiting dilutionによりクロ-ニングを行った。コロニ-形成は全細胞の約20%に認められた。単一コロニ-を採取し、24穴プレ-トに移し、ミリポアフィルタ-によるダブルチェンバ-培養法を用い、下層にfeeder cell,上層にキラ-細胞クロ-ンを入れ,rILー2,rILー1β存在下でさらに培養した。増殖してきた細胞は螢光顕微鏡にて95%以上CD56陽性細胞であった。K562,Raji細胞を標的細胞として、 ^<51>Cnーreleasing法,agarose gelによるsingle cell assayを行い,キラ-活性を保持していることを確認した。本法により、キラ-細胞クロ-ンの増殖と維持は5〜8週間可能となった。さらに、長期継代を可能とするため、これらのキラ-細胞クロ-ンに、細胞増殖活性を有するとされるbclー2cDNAを発現ベクタ-に組み込んでtransfectionし、一過性に遺伝子の発現をみた。長期継代株を樹立するには、導入遺伝子を恒常的に発現させ、サイトカインとの共存下で細胞の生存と増殖を導くことが必要であり、本研究によりその端緒を聞くことができた。
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