研究概要 |
先天性免疫不全症のうち、common variable immunodeficiency(CVID)についてのリンパ系幹細胞の培養法を確立した。方法は骨髄有核細胞をpercoll比重遠沈法で40%以上をstromal cell源とし60%層を幹細胞源した。(日本免疫學会抄録)。stromal cellの培養法は1.800ガウスの磁力線培養装置を使用して繊維芽細胞増殖因子、GーCSF GFーβ1の存在を基本に培養した。対照群として胎児骨髄細胞を使用した場合は,ILー1誘導stromal cell上には、前T細胞を主体としたリンパ系幹細胞が培養された。一方、ILー7誘導胎児stromal cell上には前B細胞を主体にしたリンパ系幹細胞が培養されてきた。他方、成人型stromal cellは極めてILー7に良く反応し前B細胞育成能を保有するstromal cellが誘導されてきた。 先天性免疫不全症においては、B細胞欠損型CVIDにおいて上記の方法を使用してCVIDーstromal cellを誘導したところ、ILー1反応性stromal cellが誘導されたのみでILー7反応性strmal cellは誘導されてこなかった。しかも、CVIDのstromal cellのリンパ系幹細胞の育成能は、前T細胞を主体としたT細胞系のみで前B細胞及びB細胞の育成能はまったく証明されなかった。 以上の結果より、CVIDのstromal cellは胎児型stromal cellであり、B細胞欠損型のCVIDは恐らくILー7反応性stromal cellの欠損により、B細胞系の欠落が引き起こされたと思われる。現在リンパ系幹細胞はmonoclonal抗体を使用した成績からCD34陽性、CD33陰性の多岐能分裂能を保有する幹細胞からTdT陽性,CD38陽性のリンパ系幹細胞に分化し、更にCD10、CD19、HLA DR陽性のB細胞系とCD5,CD7,CD2陽性のT細胞系に分化することが判明した。B細胞欠損型CVIDの骨髄細胞をin vitroで培養してCVIDの患児に養子移入すべき大量培養法を現在開発中である。
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