研究概要 |
腫瘍特異的細胞傷害性T細胞CTL/TIL(cytotoxic T lymphocyte/tumorーinfiltrating lymphocyte)の作製にILー2が使用され既に臨床応用も行なわれている。しかしILー2を使用する際に問題となるのは、ILー4と異なり、CTLと同時にLAK(Lymphokineーactivated Killer)細胞も誘導することである。LAK細胞は抗腫瘍効果と同時に、我々が既に報告した様に(J of Immunology141,2601ー2606,1988;J of Immunology143,1524ー1529,1989;日本臨床免疫学会会誌13巻,38ー42,1990)免疫調節細胞としても働く。即ち、LAK細胞はveto細胞やNatural suppressor細胞としての作用があり、allospecific CTLの産生を抑制する。更に,LAK細胞は自己リンパ球に障害性に働いたり(J of Immunology 137,502ー511,1986),血液幹細胞にも作用してmultipotential hematopoietic progenitorsを抑制する(Cancer Res 48,534ー538,1987)。この様にin vivoに投与した場合にLAK細胞の正常細胞への影響が問題となる。 一方,ILー4はILー2によるLAK細胞の誘導を抑制するが抗原特異的CTLの産生は抑制しない(J Exp Med 166,1447ー1455,1987)。ILー4を使用してtumorーspecific CTLを作成した報告は殆どない。当科で樹立した神経芽細胞腫株HNBーMSをstimulatorとしてILー2/ILー4存在下に寛解中の患児より得たリンパ球と混合培養を行いCTLを作製した。このCTLのin vitroでHNBーMSに対して殺細胞効果を示すことを確認した後in vivo(患者)に投与してその抗腫瘍効果について検討した。放射性同位元素標識CTLは腹腔内転移巣に集積した。抗腫瘍効果については、投与細胞数が充分でなく抗腫瘍効果を示すまではいたらなかったが(Am J Pediatric Hematology/Oncology,accepted)、今後の臨床応用が期待される。
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