研究概要 |
1組織学的解析方法 黄疸ラット及び対照ラットより生後10,15,20,25日に小脳を摘出した。HE染色及びMBP,GFAP,neurofilament,Sー100蛋白,PKC(βγ)による免疫組織染色をおこない、光顕並びに電子顕微鏡学的に解析した。 2結果 (1)黄疸ラットのHE染色では、生後10日よりpurkinje細胞の空胞化、オスミウム好性顆粒の増加を認めた。電顕上でもミトコンドリアの変性、cytoplasmic myelin figureの出現を認め、日齢と共にこれらの所見は進行した。 (2)免疫組織染色を用いて検討したところ、黄疸ラットではpurkinjc細胞のaxonにおけるneurofilamentの発現が対照ラットに比べ遅延し、成獣に至るまで発達遅延が持続した。また、黄疸ラット小脳では、MBPの発現もわずかに遅延しGFAP陽性細胞で増加していた。 (3)γーPKCは主にpurkinje細胞に認められた。purkinje細胞におけるγーPKCの発現を検討したところ、黄疸ラットでは細胞の変性・壊死にともない発現が抑制された。βーPKCは、小脳の分子層、顆粒層に認められたが、黄疸、対照ラット間に大きな差はなかった。また、Sー100蛋白陽性細胞は、黄疸、対照ラットのいずれにおいても10日齢よりびまん性に出現し、両者の間に差はなかった。 3まとめ 黄疸ラット小脳においては、アストロサイトの増加、purkinje細胞の変性・脱落が認められ、neurofilament,γーPKCの発現は遅延していた。
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