研究課題/領域番号 |
02670527
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
西川 徹 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第七部, 室長 (00198441)
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研究分担者 |
三国 雅彦 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第三部, 室長 (00125353)
高橋 清久 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第三部, 部長 (30073076)
UMINO Asami Div. of Mental Disorder Res., Natl. Inst. of Neurosci., Researcher
HASHIMOTO Atsushi Div. of Mental Disorder Res., Natl. Inst. of Neurosci., Researcher
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 精神分裂病 / phencylidine / methamphetamine / NMDA受容体コンプレックス / NMDA受容体アロステリックアゴニスト / ド-パミン伝達 / 異常行動 / cーfos遺伝子 / phencyclidine / NMDA受容体アロステリック調節部位 / Dーserine / ド-パミン |
研究概要 |
精神分裂病様症状惹起薬である覚醒剤(methaphetamine)およびphencyclidine(PCP)をラットに投与し、異常行動ならびに脳内の生化学的変化とそのメカニズムについて検討した。(1)前頭葉皮質内では、選択的NMDA受容体アンタゴニストがド-パミン(DA)代謝を増大させることより、NMDA受容体を介する興奮性アミノ酸伝達がDAニュ-ロンをtonicに抑制していることが示唆された。また、PCPが前頭葉のDA伝達を促進する作用もNMDA受容体遮断作用と関係していることがわかった。(2)DーアラニンおよびDーセリンは、PCPが引き起こす移所運動量増加、常同行動および運動失調などの異常行動と、覚醒剤による移所運動量の増加を抑制した。L体では、この拮抗効果がはるかに弱く、NMDA受容体のアロステリックアゴニストとしての立体特異性と一致した。(3)抗PCPならびに抗覚醒剤作用を示すDーセリンは、これまでの定説に反して、ラットでは内在性アミノ酸であり、ライフサイクルを通じ遊離型として脳選択的に分布することが明らかになった。(4)PCPと覚醒剤の投与後においては、cーfos遺伝子を発現す細胞の脳内分布が著しく異なり、これらの薬物に応答する神経回路が同一ではないことが示唆された。以上の結果は、NMDA受容体を介する神経伝達の低下が分裂病症状の発現に関与することを支持するだけでなく、NMDA受容体機能を促進する物質が、分裂病治療薬として有用であることを示唆している。また、分裂病で仮定されている過剰な脳内DA伝達の一部も、NMDA受容体機能低下によって生ずる引き起こされる可能性を示した点は重要である。内存性DーセリンはNMDA受容体の調節因子の候補であり、その基礎的研究は興奮性アミノ酸伝達の面から分裂病症状の成立機序と治療法開発の研究を行う上で、不可欠と思われる。一方、cーfosの実験結果は、PCPと覚醒剤が惹起する異常の差異に関連する現象と考えられ、分裂病症状と関係する神経回路の探索に有用かもしれない。
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