研究概要 |
1.検体の採取:1年間で甲状腺濾胞癌6例,異型腺腫3例,濾胞腺腫25例,乳頭癌15例について腫瘍組織と正常組織を集めた。さらに症例数を増やす必要がある。 2.甲状腺粗膜分画の作製および受容体数の測定:測定手技を確立するため一部の症例についてAtokinson et al.(FEBS Lett 1983;153:88ー92)の方法により粗膜分画を作製し,IGFー2受容体の測定をした。IGFー1受容体に比較して,その甲状腺濾胞性腫瘍の補助診断としての有用性は低い印象を得た(European Journal of Cancer,in press)。 3.甲状腺癌組織中IGFー1含有量:癌組織においてIGFー1含有量が正常組織に比較して有意に高いと考えてきたが,これはIGFー1結合蛋白がIGFー1のRIA測定に干渉するためであることを新たに見出した。Northern slot blot analysisにより癌組織および正常組織におけるIGFー1mRNAの発現を比較したが,ほぼ同じ程度であった(manuscript in preparation)。 4.甲状腺癌組織中IGFー1結合蛋白:IGFー1結合蛋白がIGFー1・IGFー1受容体間の重要な結合調節因子であり,ひいてはIGFー1の生物学的作用の発現に大きな影響を与えることが報告されつつある。我々も甲状腺癌組織におけるIGFー1結合蛋白のcharacterizationを今後更に進める方針である。
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