研究概要 |
1.島状皮弁における虚血再灌流障害メカニズムならびに有茎皮弁梢部における活性酸素による組織障害を明らかにし抗酸化剤を用いた予防法を開発した。 2.1%SODを含有する外用剤を作製し,皮弁裏面塗布およびODTをおこなったところ皮弁生着改善効果が認められた。最適濃度を明らかにするため種々の濃度の外用剤を作成して比較したところ0.5%以上の濃度で有効性が得られる傾向がみられたが統計学的有意差は得られなかった。 3.植物由来各種抗酸化剤ellagic acid, chlorogenic acid(CA), curcumin(CC),α-tocopherol(AT)をTris/ethanolに溶解して島状皮弁および有茎皮弁に対し1日1回,3日間局所投与した。両皮弁ともに過酸化脂質濃度上昇と壊死には相関関係が示された。またEA投与群では有茎皮弁,島状皮弁ともに組織中の過酸化脂質濃度上昇が抑制され,皮弁壊死面積の減少が認められた。CCは有茎皮弁にのみ効果が得られた。これら植物由来の抗酸化剤の今後の臨床応用への展望が得られた。 4.ラット鼠径部に浅腹壁動静脈を茎とする島状脂肪弁を作製し,非虚血対照群と3-11時間まで1時間毎の虚血群に分け,いずれも再灌流7日後に重量を測定した。さらに各虚血群に抗酸化剤であるアロプリノールを投与し,その効果を調ベた。これらの結果,脂肪弁の虚血再灌流障害には虚血そのものによる組織障害に再灌流障害が加わるものと示唆された。従来の島状皮弁モデルでは充分明かにできなかった虚血時間の影響が明僚に示された。また9時間以上の虚血では,それだけで不可逆性の組織障害がもたらされることが判明した。アロプリノールは主に再灌流障害を予防すると推定された。
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