研究概要 |
研究は、1,ケトン体輸液の作成 2,侵襲を受けた実験動物に対するケトン体輸液の投与効果 3,侵襲時の患者に対するケトン体輸液の投与効果 についてすすめられた。 1,ケトン体輸液については、3-ヒドロキシ酪酸製剤を用いた。当初、DL-3-ヒドロキシ酪酸ナトリウムいわゆるラセミ体を用いたが、非生理的なL-3-ヒドロキシ酪酸を含有するため、D-3-ヒドロキシ酪酸のみを含有する製剤を開発した。本年の実験は、新しく開発されたD-3-ヒドロキシ酪酸ナトリウム溶液(sodium D-3-hydroxybutyrate:以下3-OHB)を用いておこなった。 2,Reserved bottle法によりラットの出血性ショックモデルを作成し3-OHBを注入し、アミノ酸代謝に関して検討した。3-OHB注入例では、生理食塩水注入例に比し、蛋白異化の抑制作用が認められた。この結果がEffect of sodium D-3-hydroxybutyrate on amino acidemia in hemorrhagic hypotension.European Surgical Research 23:250-255,1991に掲載された。 また、熱傷モデルのラットを用いて、投与された3-OHBが侵襲時にもよく酸化され、末梢組織で利用されていることを、ラジオアイソトープを用いて証明した。この結果は、現在投稿中である。また、呼気中のトレーサーの排出量を検討するのみではなく、体内での分布に関しても検討中であり、研究をさらにすすめている。 3,臨床研究としては、外傷例および、熱傷例に対する注入の結果については、すでに報告した。現在は、頭部外傷患者に対して、投与し、ケトン体が脳の嫌気的代謝を抑制しえるかどうか検討しており、研究が進行している。
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