研究概要 |
基礎実験として,正常ラットに重水を投与し,一定時間ごとに採取した血液を凝昇華装置にて精製し白金触媒下にて水素ガスと同位体交換反応を行わせる事によって,重水素化水素を求めガスクロマトグラフィ-にて血中重水濃度を求めた。この基礎的実験により血中重水濃度は投与後4時間以内に平衡状態となることが明らかとなった。次に実験群として普通食ラット,我々の開発した脂肪含量49%の高脂脂食により飼育した高脂肪食ラット,遺伝性肥満ラットであるZuckerラット及びそのヘテロであるLeanラットを用い重水希釈法による体水分量の測定と,直接法(ラットを断頭後,液体窒素にて凍結しパウダ-状に粉砕し,クロロホルムメタノ-ル法にて体脂脂量を直接測定する方法)により体脂肪量の測定を行い比較検討した。Zuckerラット,高脂脂食ラット,普通食ラットにおいて体重に有意差を認めなかったが,体脂肪率は有意に異っており,体組成の異なる群である事が確認された。重水希釈法による体水分量と,直接法による除脂肪体重の比は4群でほぼ等しく有意差を認めなかった。またすべての検体での除脂肪体重と体水分量の関係は,r=0.89との高い相関係数にて有意に相関しており,回帰直線はy=0.729Xと求められ,体水分量は除脂肪体重の72.9%を占めると結論づけられた。従って体組成の異なる群すなわち肥満においても正常体重者と同様に重水希釈法により体脂肪量が求められる事が動物実験より判明した。
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