研究課題/領域番号 |
02670575
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
島原 康行 京都大学, 医学部, 助手 (30196498)
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研究分担者 |
山岡 義生 京都大学, 医学部, 講師 (90089102)
小澤 和恵 京都大学, 医学部, 教授 (00026858)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 肝潅流 / 人工肝 / UW液 / 肝ミトコンドリア / 肝エネルギ-代謝 |
研究概要 |
豚肝を用い17時間、持続潅流を施行した。潅流液はUW液に10%W/VFC43emulsionを添加し酸素運搬体とし、潅流温度を22℃とした。潅流液中のケトン体比は、肝のミトコンドリア酸化還元状態を表わすと考えられるが潅流中終始1.0以上の高値に保たれ潅流肝のミトコンドリアの活性が十分に保たれていることが判明した。潅流液中の乳酸値は潅流開始直後3mMであったが終了時には1.3mMまで低下した。また潅流液中のピルビン酸/乳酸比は0.04以上を維持し、肝細胞質の酸化還元状態も良好に保持されていた。潅流液中GOT,LDHは、潅流経過中正常に保たれた。潅流終了時の肝組織中の総アデニンヌクレオチド量は6.09μmol/g wet weightであり、またエネルギ-チャ-ジは0.90と極めて高く潅流肝のエネルギ-代謝が正常に保たれることが判明した。また同様のシステムにて潅流液の温度を32℃にした実験も行なったが、潅流肝の外観は3時間ぐらいで悪化し、門脈圧が上昇して肝実貭の圧が高まっていることが示唆された。この時、潅流液中の乳酸値は10mMに増加し、肝がその代謝機能を果していないばかりか、活性が低下していることが判明した。3時間におけるエネルギ-チャ-ジは0.4に低下し、肝エネルギ-代謝が破綻していることが明らかとなった。以上の結果より、UW液を用いた豚肝による人工肝システムでは、温度が22℃であれば17時間もの長時間、肝のViabilityを保つことが可能であることが判明した。従来、血液を用いた豚肝の潅流では8時間が限界であったがUW液はそれを大きく上まわると言える。しかし、人工肝としての効率をもっと上げるためには至適温度の検討が必要であり、32℃ではかえって潅流肝が劣化することも明らかになった。流量の設定や、酸素運搬体の濃度などの改良が今後の課題と考えられる。
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