研究概要 |
胃癌培養株MKO1,KATOIII,乳癌培養株MCFー7をヌ-ド・マウスに相えて,in vivoに於けるアロマタ-ゼ・インヒビタ-CGS・16949Aの増殖を検討した。MKO1では余り腫瘍増殖抑制は認められなかったがKATOーIIIでは10^<ー6>〜10^<ー7>Mで,腫瘍増殖抑制があり,抑制効果は乳癌のMCFー7の半分であった。 切除胃癌組織のアロマタ-ゼを測定したところ,乳癌組織ほど高くないが,陽性例を認め,特に若年者のスキルス胃癌組織内に陽性例,高値例を認めた。一方,胃癌周囲,大網脂肪組織中のアロマタ-ゼを測定したところ,アロマタ-ゼ活性の陽性例を認めた。胃癌組織と同様に,若年者の女性のスキルス胃癌患者の大網と,高齢者男性のスキルス胃癌患者の大網内のアロマタ-ゼが高かった。以上より,胃癌患者組織(胃癌・大網)内でアロマタ-ゼ活性が高く,血中のエストロジェン産生に大きく関与し,胃癌とくにスキルス胃癌の増殖の関与が示唆された。現在,アロマタ-ゼ活性を生化学的手法で測定する以外,免疫組織染色で検討したところ,生化学的測定と一致することがわかった。胃癌と大網のアロマタ-ゼ酵素を染色し,組織内のE_2との関連もみており,胃癌の30%位で,陽性例がみつかっている。 胃癌患者5例にアロマタ-ゼ・インヒビタ-を投与し,前後のエストロゲン血中値を測定したところ,全例に低下を認めた。女性スキルス胃癌患者の進行例に投与したところ,イレウスが改善した例を経験している。以上の点より本療法は有望なスキルス胃癌に対する補助療法になると考えられる。
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