研究概要 |
左心補助心臓の駆動方式による肺循環に対する影響を調べるために,左心房に脱血カニュ-レを上行大動脈に送血カニュ-レを挿入し,空気駆動式サック型血液ポンプに接続し,左心バイパスを行った。心電図にトリガ-させ,肺循環は拍動する自然心の右心室で維持し,左心バイパスはカウンタ-パルセ-ション方式とコウパルセ-ション方式で行った。自然心の右心室の代りに右心補助心臓を装着し,左室・右室交互駆動方式と左室・右室同時駆動方式を行った。それぞれの条件において,肺血管外水分量,動脈血ガス分析,肺動脈圧,左心房圧,大動脈圧,中心静脈圧,心拍出量測定を行った。 動脈血酸素分圧はバイパス後低下する傾向があったが,左心補助心臓駆動時においてカウンタ-パルセ-ション方式とコウパルセ-ション方式の間では有意差はみられず,又両心補助心臓駆動時において左室・右室交互駆動方式と左室・右室同時駆動方式の間でも有意差はなかった。肺血管外水分量,肺動脈圧,左心房圧においても,二群間に有意差はみられなかった。これらの結果からは,左心補助心臓駆動時においては,カウンタ-パルセ-ション方式とコウパルセ-ション方式の間に,肺循環に対する影響では差がないこと,又両心補助心臓駆動時においては,交互駆動方式と同時駆動方式の間に差がないことが示唆された。(特に肺血管外水分量及び肺のガス交換能に関して)
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