研究概要 |
内胸動脈(IMA)の剥離の方法により2群に分け、IMAの成長性を検討した。幼豚を用い全麻下で実験を行なった。IMAをpedicleとした群(I群)とIMAの周囲の組織をすべて除去した群(II群)に分けた。1)I群のfreeIMAを他側に敲吻合し、術後5±2ケ月で屠殺し検討した。5例中3例が開存したがIMAの成長は見られなかった。II群は5例中1例のみが開存し同様であった。側副血行でsupplyされている為に成長に乏しかったものと考えられた。2)上行大動脈に穴を開け7ー0糸にてIMAを吻物した。左冠動脈前下行枝(LAD)に1cm間隔で2本、糸をかけLADを切開し、チュ-ブを入れ鎖骨下動脈より冠潅流を行なった。糸の間の冠動脈を縦切開し、搏動心のままでIMAの末梢側と冠動脈を8ー0糸にて吻合した。吻合後中枢側糸を結紮した。手術完了時生存したものは12頭中5頭(I群)であった。3頭が出血・梗塞で1・3・4日に死亡した。1頭のIMAは血栓性閉塞した。2頭は開存していた。残る2頭は31,40日目に栄養不良の為に死亡した。造影でIMAは開存していた。体重は31→32,30→31Kgと増加は不良であった。長さは8.3→8.5cm,8.6→8.7cmに、太さは3点の平均で2.3→2.4,2.2→2.1mmと殆ど変化していなかった。組織学的には内膜肥厚は軽度でinjuryもみられなかった。II群にも同様の方法で実験した。6頭中、実験終了まで生存したものは2頭であった。栄養不良の為20,26日目に死亡した。体重は30→30,29→30kgの変化で、1頭のIMAは閉塞し、開存例のIMAの長さは8.0→7.9cmに、太さは2.2→0.8mmと細く、壁不整が著明であった。組織学的に内膜の肥厚、血栓及び外膜の線維性肥厚が認められた。両群共に長期生存を得ることができなかった為に正確な結論を出すことはできないが、短期の結果としてはI群の周囲組織をつけたpedicleとして用いたfreeIMAの方が良好と考えられた。
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