研究概要 |
実験的hypoxia-reoxygenationによるヒト好中球の変化として,1)活性酸素生成系への影響,2)好中球膜上にある活性酸素生成系であるNAPPHoxdase活性への影響,3)1),2)の変動と好中球内Ca^サ濃度との関連について検討を行った。 1)に関し,hypoxia下では活性酸素生成は有意に低下しており,re-oxygenationすることにより有意に増加し,臨床での虚血・再灌流の際の臓器障害の成因としての役割りを演じていることの証明ができた。 2)に関し,好中球内活性酸素生成系の主機構であるNADPHoxidase活性はhypoxia下に有意に低下し,reoxygenationにより有意に上昇するという1)と同様の結果を得た。 このことは,hypoxia-reoxygenation時の好中球内活性酸素生成系の変動は好中球膜よのNADPH oxidase依存性の反応変化であることを示している。 3)に関してはfMLPで刺激しFura-2AMを用いてhypoxia-reoxygenationに際しての好中球内Ca^サ濃度の変化を検討したがhypoxia下におくと,その刺激ですでに細胞内Ca^サ濃度が上昇することがわかったが,re-oxygenationにより過剰に細胞内Ca^サ濃度が上昇することが判明した。 この事実はreoxygenationにより好中球内Ca^サ濃度が上昇し,その結果NADPHoxidaseが活性化され,活性酸素生成が高まるという反応機構がモデルとして確立されたことを意味している。 このことから,本研究で開発したhypoxia-reoxygenation実験モデルが虚血・再灌流時の臓器障害(細胞障害)モデルとして使用できることが明らかとなり,今後の薬理学的研究への橋渡しとなった。
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