研究概要 |
1.radioligand binding assayによる検討:雄家兎を対象に、^<125>IーHEATをリガンドとして行なった受容体結合実験の結果、膀胱頂部、膀胱頸部、前立腺、前立腺部尿道、膜様部尿道のα_1受容体数(B_<max>)の平均値はそれぞれ0.04,0.32,0.20,0.41,0.19fmol/mg tissueで、解離定数(Kd値)は各部位とも0.08から0.18nMと、ほぼ均一の値を示した。 2.オ-トラジオグラフィ-による検討:雄家兎の尿道横断面の凍結切片をスライドグラス上にマウントし^<125>IーHEATと反応させ、フィルムに感光させる方法、および感光乳剤をdipする方法にてミクロオ-トラジオグラフィ-をおこなった。しかしいずれの方法でも総結合と非特異的結合の画像に差がないため特異的結合の画像を得られず、α_1受容体の2次元的局在を明らかにすることができなかった。 3.結論:α_1受容体数は前立腺部尿道と膀胱頸部で高値を示し、膜様部尿道と前立腺はその中間の値であった。雄家兎の膜様部尿道は約8割が横紋筋成分、すなわち外尿道括約筋からなっている。したがって外尿道括約筋におけるα_1受容体数は、前立腺部尿道や膀胱頸部よりは少ないものの、前立腺とほぼ同等の値といえる。前立腺にα_1受容体が存在すること、および前立腺肥大症における排尿障害に交感神経系が関与していることはこれまで明らかにされている。今回の実験結果から外尿道括約筋においても交感神経系は重要な役割をしているものと推察された。今回オ-トラジオグラフィ-では、特異的結合の画像を得ることができなかった。しかしヒト前立腺を対象とした実験ではα_1受容体の局在を明らかにした報告もあり、今後は外尿道括約筋におけるα_1受容体の局在を明からにするべくさらに工夫を加えて実験、検討する予定である。
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