研究概要 |
研究目的 Tリンパ球の表面抗原に対するモノクロ-ナル抗体を利用したリンパ球サブセット解析を利用して,腎移植後の拒絶反応と感染症との鑑別を試みた。 研究方法及び結果1)生体腎移植において,腎提供者と腎受者の両方より線維芽細胞を分離培養し,同線維芽細胞にHCMVを感染させ,その後,腎受者のリンパ球と混合培養して,増殖したリンパ球を各種モノクロ-ナル抗体を用いて,フロ-サイトメトリ-で分析した。行平して,術後毎週,同じ組合わせで末消リンパ球サブセット解析を行った。線維芽細胞とリンパ球の混合培養においても,末梢血においても,感染症と拒絶反応を鑑別できるような結果はえられなかった。 2)腎移植後の安定期,拒絶反応時,感染症発症時に血液を採取し,新しいモノクロ-ナル抗体T8ーFITC/S6FーRD1を用いて,サブセット解析を行なった。拒絶反応時には約半数でT8^+S6F1^+細胞が有意に増加した。感染症発症時にもT8^+S6F1^+細胞が増加し,感染症の極期にピ-クとなり,感染症の回復とともに減少した。しかし,このモノクロ-ナル抗体でも拒絶反応と感染症の鑑別は困難であった。 3)腎移植後,定期的なOKT3,OKT4の測定と血液および尿からサイトメガロウイルス分離を行ない,拒絶反応出現時とサイトメガロウイルス培養陽性時の比較を行なった。OKT4/OKT8比はサイトメガロウイルスが分離された時は有意に低下しており,分離されなくなると上昇した。すなわち,OKT4/OKT8比が低下している時には拒絶反応よりも感染症を考えるべきと結論した。
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