研究概要 |
NAGをヒト精漿,精巣,腎組織より分離精製し,その分子量,酵素学的特性,糖鎖構造の違いなどを検討した。分子量はいずれも140kDaと同じであったが,金属イオンによる阻害作用では生殖器由来(精巣,精漿)のNAGと腎由来のNAGとではBa^<2+>とZn^<2+>とでは違いがみられた。Con AとWGAを用いた糖鎖では生殖器由来と腎由来のNAGに違いがみられなかった。NAGアイソザイムでは精路組織ではB分画が多く,腎組織ではA分画が多くを占めた。 ついでNAG Aについてヒト精巣および腎組織から精製し,その分子量を検討するとともに糖鎖構造の違いについて検討した。その結果両臓器から少量ながら複合型の糖鎖を有するNAG Aを検出した。この複合型糖鎖は腎由来より精巣由来で多いという結果が得られた。 さらにヒト腎組織からHexosaminidase Cを分離し,その酵素学的特性を検討した。また腎細胞癌組織より得られたNAG Aについて正常組織との酵素学的違いを検討し,両者に基質代謝に対する違いはないが糖鎖構造に違いがあることを示した。即ち,腎細胞癌では複合型とフコースを有する混成型が有意に増加し,高マンノース型とフコース残基をもたない混成型が有意に低下することを示した。
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