研究課題/領域番号 |
02670764
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 衞 (鈴木 衛) 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (80116607)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 内耳毒性薬剤 / 前庭神経切断 / 姿勢・運動能 / 傾斜姿勢 / 中枢性代償 / 末梢前庭受容器 / 活動電位 / 走査電顕 / 卵形嚢 / 前庭神経 / ウシガエル / 神経再生 / 体平衡障害 / ゲンタマイシン |
研究概要 |
カエルを用いて内耳毒性薬剤投与後、ならびに前庭神経切断後の姿勢・運動能の変化を検索し、あわせて切断神経、末梢前庭器の形態学的、生理学的検討を行った結果、つぎの結論を得た。内耳毒性薬剤投与後、動物は前庭器官の障害に応じた姿勢や運動能の変化をきたした。最も著明な変化は卵形嚢障害の際にみられたもので、障害の強い側への傾斜姿勢であった。この傾斜姿勢は投与後の経過日数に応じて増悪する傾向があった。また、卵形嚢斑の障害がごく僅かであっても姿勢の変化が現れた。以上より、内耳毒性薬剤は前庭器感覚細胞に有意の変化を生じ、この変化に応じて姿勢も障害され、また進行することが判明した。一側前庭神経切断後は、その側への偏倚姿勢が現れた。この姿勢は日数の経過とともに軽快し、もとの正常な姿勢に戻った。この時点では、切断した神経はよく再生し、また、前庭器も形態学的、生理学的に正常であった。よって、姿勢の回復には従来より知られている中枢性の代償機構と末梢前庭器の機能の回復がともに作用し合っているものと考えられた。一側前庭神経切断後の姿勢回復を待って再度同じ神経の切断を行った場合は、やはりその側への傾斜が出現したが、傾斜度は初回のそれに比べると小さく、また回復期間も短かった。このことは、純粋に中枢性代償機構のめまい症状に対する改善効果をしめすものといえる。また、姿勢回復後に反対側の神経切断を行った際は、傾斜度は初回のそれに比べて大となった。このことより、一側に成立した中枢代償が他側前庭障害の症状の程度にも影響を及ぼすものと思われた。さらに、両側神経の切断後、一側で神経の再生を阻害した場合は、徐々にその側への傾斜が出現した。このことは純粋に末梢受容器機能の姿勢の回復に対する作用をしめすものと考えられた。
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