研究概要 |
ネコ内喉頭筋の内特に後輪状被裂筋(後筋)を用い支配神経である反回神経切断後に神経筋接合部の形態変化と組織化学的性状について検討した。また切断直後に縫合による神経筋接合部の再生過程について電顕的に検討した。反回神経切断後24時間で神経筋接合部に形態変化は認められないが2日後に神経終末は消失しシュワン細胞が被うようになる。切断後6週目になると1次シナプス間隙は平坦化してくるが,9週目以降になると同部に自律神経終末に類似した終末が認められるようになる。切断後11週目の例で5ーhydroxydopamine(5ーOHDA)を筋に注入した場合これらの終末内シナプス小胞に5ーOHDA取り込み像が観察された。さらに血管周囲の自律神経の増加が認められ,同時にシュワン管内にも認められたことにより再生してきた自律神経が血管経由でシュワン管に侵入し,除神経された神経筋接合部に到達してシナプスを形成したと推測された。同時期に後筋にfibrillation様の筋放電が認められたことによりこれらの再支配した自律神経の刺激によると考えられる。さらに反回神経切断後の内喉頭筋の萎縮の程度を軽減している可能性が示唆された。一方,神経切断直後に神経を端々縫合した場合2週目では神経筋接合部に神経終末はみられず,筋電図はelectrical scilenceを示すが3週目では1/3に神経終末がみられるようになる。6週目では全ての部位に終末が再生し。運動神経の神経伝達物質はアセチルコリンであることが知られているが,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の抗体を用いた免疫電顕的検討より運動神経終末にCGRPが存在し,CGRPが内喉頭筋の筋収縮の調節に関与していることが推測された。
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