研究概要 |
1.鼻粘膜上皮層リンパ球サブセット 手術時採取したアレルギ-,非アレルギ-下鼻甲介粘膜片表面を鋭匙で擦過し上皮層標本を得,さらに上皮細胞と上皮細胞間細胞成分を分離した。上皮層剥脱粘膜片は細切し,コラゲナ-ゼ処理により細胞成分を分離した。これらを抗CD3單抗体,PMAを加えたRPM11640液中で3日間培養した後,フロ-サイトメトリ-で分析した。アレルギ-と非アレルギ-を比較するとリンパ球サブセットは上皮層でのみ相違があり,アレルギ-は非アレルギ-に比し,傷害性T細胞,ヘルパ-T細胞,ダブルネカティブγδT細胞が多く,抑制性T細胞が少なかった。鼻アレルギ-では反応を抑制するT細胞が少く,増強するT細胞が多い結果を得た。 2.鼻汁プロテア-ゼインヒビタ-の表皮ダニ抗原に対する作用 吸引法で採取した鼻汁を脱ムチンし,ダニ精製抗原Der f I,II,トリプシン,パパインなどと混合反応させ,蛍光ペプチド基質を用いて,プロテア-ゼ活性の変化を測定した。鼻汁はDer f I,パパインのSHプロテア-ゼ活性を強く抑制した。鼻汁中にはSHプロテア-ゼイヒビタ-を含み,表皮ダニ抗原と粘膜表面粘液層で反応し,ダニ抗原の粘膜内侵入を抑制する可能性を示唆した。 3.好酸球major basic protein(MBP)の鼻粘膜上皮層肥満細胞への作用 鼻アレルギ-患者粘膜上皮層を擦追により採取し,含有する肥満細胞とMBPを反応させ,肥満細胞から遊離するヒスタミンを定量した。MBPは肥満細胞からのヒスタミン遊離を促進した。MBPとの反応後の肥満細胞にさらに抗原チャレンジすると抗原による肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制した。好酸球は抗原による肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制し,発症抑制に仂く可能性を示唆した。
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