研究課題/領域番号 |
02670779
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 三重大学 (1991) 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 (1990) |
研究代表者 |
仙波 禮治 三重大学, 医学部, 教授 (00090431)
|
研究分担者 |
青木 英子 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 研究助手
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | グリシン / 聴覚路 / 脳幹 / 蝸牛神経核 / 台形体核 / 上オリ-ブ核 / 免疫染色 / 神経伝達物質 / 脳幹神経核 / グリシン抗体 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
我々は先に代表的な抑制性神経伝達物質であるグリシンに対する抗体を世界で初めて作製した。そこで、この抗グリシン抗体を用いて聴覚路の神経核を免疫染色し、聴覚路におけるグリシン作動性ニュ-ロンの役割を明かにすることを目的として本研究を行なった。 グリシンの他、GABAやアスパラギン酸、グルタミン酸、パルブアルブミンに対する抗体が各々どの神経核と神経路を染め出すかをラットの聴覚路について検討した。 内耳からの入力を受ける蝸牛神経核には背側核と腹側核があるが、グリシン陽性の細胞体は背側核に集中し、その神経終末が腹側核に見られた。音刺激によって背側核のグリシン細胞が興奮すると、この細胞からのグリシン繊維が腹側核の活動を抑制し、大きな音はそれだけ強力な抑制を受けることになり、結果として腹側核からの出力は音の大きさの巾が圧縮され、広いダイナミックレインジの音が次の神経核に伝わることになると考えられた。 台形体核や、上オリ-ブ核には、音源の方向を認知するための神経回路が存在すると考えられているが、台形体核から上オリ-ブ核(外側核)へ投射するグリシン陽性繊維が数多く見られた。右方向に音源が在るとすると、音刺激は右耳に左耳より一瞬早く入る。右耳からの刺激は、抑制性の経路を介して、続いて入ってくる左耳からの音刺激に対する感受性を低下させ、結果として右耳からの音刺激を際だたせ、音源の方向をより明確にさせる。この時に働く抑制性の経路が上述のグリシン繊維であろうと考えられた。 このようにグリシンは脳幹部の聴覚路において音強度の圧縮や音源の定位に重要な役割を担っていると推定された。
|