研究概要 |
増殖前糖尿病性網膜症を,その後部硝子体螢光値より軽症,中等症,重症の3群に分け,主として網膜光凝固(アルゴン・レ-ザ-光)による治療法の選択・効果(6カ月後の視力・網膜所見の変化により有効,不変,無効に分けた)を検討した。 1.軽症例(螢光値20ng/ml以下)12眼:病巣凝固を全例実施し、有効8眼,不変2眼,無効1眼で、有効例は全例ヘモグロビンAic値は8.5%以下であった。 2.中等症例(螢光値21〜35ng/ml)13眼:病巣凝固を全例実施し、有効6眼,不変4眼、無効3眼で、有効例及び不変2眼(1例)のヘモグロビンAic値は8.5%以下であった。 3.重症例(螢光値36ng/ml以上)4眼:汎網膜光凝固を全例実施し,有効1眼,不変1眼,無効2眼で、全例ヘモグロビンAic値は10.0%以上であった。 増殖前網膜症には原則的に全例病巣凝固でよいと考えていたが、螢光値の高いものは汎網膜光凝固が必要である。螢光値より増殖前網膜症の診断をつけることも可能と考えていたが、螢光値の分散が広く,20ng/ml以下のものも多く,10ng/ml以下のものも4眼あり,この診断は眼底所見を主とするべきであることが判明した。 ヘモグロビンAic値(糖尿液コントロ-ル)も光凝固効果を左右する有力因子で,これが %以下のものは病巣凝固の成功率が極めて高い。 今後は更に症例を増加し、より成功率の高い病巣凝固法の適応を確立したい。
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