ヒトパピロ-マウイルスは子宮頸癌の原因として注目されているが、口腔扁平上皮癌や口腔乳頭腫でも見出されることが明らかになってきている。本研究はヒトパピロ-マウイルスの口腔扁平上皮癌の組織発生における病因的意義を究明することが研究の目的である また合わせて口腔扁平上皮癌の臨床病理学的動態についても研究することを目的のひとつとする 本年度の研究実績の概要は以下のごとくである。 1 コイロサイト-シスのヒトパピロ-マウイルス感染との関連性およびヒトパビロ-マウイルス感染症における診断的意義をさらに症例を追加して検討したが 口腔病変ではヒトパピロ-マウイルスの感染とは無関係に出現するので診断的有用性は低いことが明らかとなった 2 生検 外科手術や剖検時に採取した生材料からのDNAでは1例にタイプ16の陽性所見がみられ、この例は白板症を伴っていたが 免疫組成化学的検索では陽性所見を見出せなかった 3 剖板標本ホルマリン固定資料の中で口腔癌について腫瘍部 コントロ-ル部からDNAを採取し サザンハイブリティション法で検索したが陽性所見を示すものはなかった 4 増殖因子であるEGFのレセプタ-の分布を白板症、扁平上皮癌について免疫組織化学的に検索し 臨床病理学的動態と対比した 5 パピロ-マウイルスが発癌と関連するならば 癌の多発性も考慮されるので 口腔扁平上皮癌の多発に関する研究を用い 口腔扁平上皮癌の組織発生について考察した 6 舌癌の臨床病理学的動態を剖検例を用いて検討し 治療における問題点を検討した
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