研究概要 |
申請者並びにその所属する教室は、硬組織が生理物に低カルシウム(Ca)状態におかれた場合生ずる障害について、細胞レベルで解明を試みている。 その一環として、本研究では骨芽様細胞由来の細胞を用い細胞内情報伝達系の中から細胞内遊離Ca[Ca_<2+>]i、低Ca環境下で培養しプロテインキナ-ゼC(PKC)の活性・局在・種それぞれについてその影響を検索した。 その殆んどは平成2年度までに達成した。平成3年度は細胞の機能タンパクの一つであるPKCのアイソザイム種並びにその局在について調べた。[方法]細胞:ラット胎児の頭蓋骨より採集し8〜10日間培養した初代細胞を用いた。環境:培養液のCa濃度を正常1.87mM、低環境0.34及び0.15mMとした。測定:PKCの局在並びにアイソザイム種(TypeI・II・III)については、PeroxidaseーAnti Peroxidase(PAP)法の原理を用いた免疫組織学的特色:MEBPaPーMテストキッド(生化学工業)により行った。[結果]環境は、培養液のCa濃度1.87mMを正常(対照)、0.34mMを低Caとし、それぞれで培養した細胞を対照細胞、低Ca細胞とした。 1.TypeI:対照、低Ca細胞共に著明な反応陽性の染色像が得られた。陽性反応は、細胞質全体では弱く、核の一片測に明確に出現するのが認められた。また、低Ca細胞では対照細胞に比べ膜の辺像に強い反応がみられた。 2.TypeII:対照、低Ca細胞共に強陽性の染色像が認められた。その反応分布は、細胞質全体に認められた。三種中最も顕著に出現した。 3.TypeIII:対照、低Ca細胞共に殆ど反応陰性であったが場合によっては、弱陽性の薄い染色像が認められた。その反応は細胞質全体であった。 TypeI,II,III共に低Ca細胞が対照細胞に比較し、弱い反応陽性を示した。更にこられアイソザイム種の動態を検討し、複雑な情報伝達機構のネットワ-ク並びに細胞機能発現のメカニズムとの関連性を追求したい。
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