研究概要 |
1.各処理剤応用後の象牙質表層の形態変化と透過性の関連性について 処理剤応用前、すなわちスメア層の存在する場合もごく微量ながら生理食塩水の象牙質透過が認められた。各処理剤応用後の透過率はKE:175.2±32.5%,SB:149.3±25.6%,DC:121.5±5.5%,10AA:109.3±11.2%,15ED:112.3±15.2%,5AA:102.5±5.6%であり、KEあるいはSBを用いた場合は他の4者より有意に透過性が亢進した。また画像解析の結果、象牙細管開口部の面積率(単位面積当たり)はKE:30.6±6.2%,SB:23.9±9.8%,DC:8.6±1.8%,10AA:7.6±1.8%,15ED:6.3±1.3%,5AA:.7±1.1%であり、KEあるいはSBを用いた場合は他の4者より有意に象牙細管開口部の面積率が増大した。単回帰分析により象牙質透過率と象牙細管開口部面積率の相関性を検定した結果、両者の間にはY=ー28.1099+0.3250Xなる単回帰直線と相関係数0.9214が得られ、信頼率99%で高度に有意な相関が認められ、各処理剤応用後の象牙質表層の形態変化と透過性の間には密接な関連性があることが示唆された。 2.象牙質透過性とコンポジットレジンの剪断接着強さの関連性について 今回使用した6種類の象牙質面処理剤応用後の象牙質面に対するPhoto BondとPhoto Clearfil Brightの接着強さはKE(約70kgf/cm^2)が最も高く、15ED(約60kgf/cm^2)も比較的高い値を示した。他の処理剤に関しては約40〜50kgf/cm^2の剪断接着強さを示し、KE応用後の象牙質面に対する接着強さは15EDを除く他の処理剤応用後のものよりも有意に高いことが判明した。単回帰分析により象牙質透過率と接着強さの相関性を検定した結果、両者の間にはY=45.1229+0.0378X、相関係数0.2036が得られ、有意な相関はないことが判明した。
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