研究概要 |
肝や心筋ミトコンドリアはその呼吸調節能を指標としさまざまな研究がなされているが、歯肉については呼吸調節能を有した歯肉ミトコンドリアの調製が困難であり、呼吸活性についての研究はほとんど見られない。そこで、歯周病原性細菌内毒素が歯肉に及ぼす影響について検討するため、歯肉より呼吸調節能を有したミトコンドリアの調製を試みた。 イヌより歯肉を採取しミンス状細片としたのち、ディスパ-ゼを含むHanks'溶液中に浸し、37℃、で20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、および70分間それぞれインキュベ-トした。インキュベ-トした試料はポリトロンホモジナイザ-を60秒間作用させ、4500Xgと500Xgの遠心操作を行いミトコンドリア画分を得た。 酸素消費量を測定する基、呼吸基質やADPを経時的に添加し、酸素消費量の変化を連続記録した。 実験結果 1.ミンス状歯肉細片を1.5mg/mlディスパ-ゼを含むHanks'溶液にて20分間、30分間、40分間、50分間、60分間および70分間インキュベ-ションした後、得られたミトコンドリア画分の酵素消費量を測定したところ、20分間、30分間、40分間のインキュベ-ションでは呼吸基質の添加により、酸素消費量の増加がみられるものの、さらに、ADPを添加しても酸素消費量の増大は認められなかった。50分間のインキュベ-ション結果ではADP添加により30.2%酸素消費量が増加し、60分間では53.8%、70分間では14,0%増加するという結果を得た。 2.1.5mg/mlディスパ-ゼを37℃、60分間作用させると、他の条件より多くADP添加時の酸素消費量(state 3)が増加したものの、ADPが消費されたあと酸素消費が抑制された状態(state 4)は観察できなかった。そこで、5倍量のディスパ-ゼ7.5mg/mlを60分間と30分間作用させたところ、state 3の酸素消費量はそれぞれ32.3%,37.1%の増加であり、state 4は観察されなかった。現在、作用させる酸素の種類、作用時間や作用温度について検討中である。
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