研究概要 |
(1)ラットの下歯槽神経の一部をネンブタ-ル麻酔下で頬側より露出し、中枢側で切断した.30分間保生後、2極電極にかけ電気刺激を行うと、神経支配領域のオトガイ部の血管透過性が増し、色素を静注すると漏洩が認められた.そこで下歯槽神経にHeーNeレ-ザ-を10分間照射すると血管透過性の抑制が認められた. (2)臼歯部歯髄へ分布している下歯槽神経を電気刺激することにより歯髄にオトガイ部でみられたような血管透過性の変化が見られるはずである。この歯にレ-ザ-を直接照射すると、より臨床に近い条件でレ-ザ-の効果を見ることができる.レ-ザ-照射の効果判定は,顎骨の脱灰組織標本を作成しHE染色をし血管及び色素の漏洩について観察した.その結果,対照群では歯髄の血管の拡張が観察された.色素の漏洩については十分に観察できなかった.レ-ザ-を照射した場合,歯髄の血管の形態に明かな差は認められなかった.これは神経を刺激しながら臼歯ヘレ-ザ-照射するのが予想以上に困難であり,照射が確実に行われたかどうかによると思われる. (3)ラット背部を剃毛し左右対照に創を形成し,片側のみレ-ザ-を一日おきに30分間照射し創の大きさを画像解析装置により測定した.その結果,レ-ザ-を照射した場合非照射対照側に較べて治癒が早く,特に3日目から9日目では統計学的に有意な差が認められた.また組織学的にも,レ-ザ-照射側で結合機の形成が対照側に比して多くみられた.さらに創傷治癒の過程で重要な役割を果たしていると考えられているTGFーβーがレ-ザ-照射による治癒促進作用に関与しているかを検討した.TGFーβの測定はアッセイキットを用いてELISA法により測定した.その結果,レ-ザ-を照射するとTGFーβの活性が対照と比べて有意に高かった.
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