研究概要 |
乳歯反対咬合は永久歯列期の反対咬合の前駆症状であることが多く,成長とともに増悪するためその成長過程を注意深く観察する必要がある。しかし,あるものは良好な経過をたどり自然治癒をする。過去に自然治癒の機転については報告済みである。今回は,前年度より引き続き行っている側方セファログラムを用いた反対咬合の形成に寄与する度合いの強い項目を主成分分析より抽出することと,判別分析を用いて自然治癒するか否かの判別もあわせて行った。 その結果,1.距離計測18項目より9項目(Ptm'-ms,A'-ms,is-is',mo-ms,Gn-Cd,Pog'-Go,Cd-Go,ii-ii',mo-mi)を,角度計測28項目より9項目(SNA,SNP,Mandibu(arpl.,Y-axisto SN,Ramus to SN,Goniala.,SN-NF,UA to SN,LA to Mand.)を選択した。2.主成分分析の結果6項目の主成分を抽出した。第1主成分は歯系の垂直成分が関与する因子。第2主成分は下顎骨の位置に関与する因子。第3主成分は上顎第二乳臼歯の前方と後方とが対比する因子。第4主成分は下顎の形態に関与する因子。第5主成分は下顎枝に関与する因子。第6主成分は下顎乳中切歯歯軸の因子であった。以上の6主成分までの累積寄与率は82.8%であった。3.距離計測項目18項目を用いて判別効率の良い項目を抽出するとN-S,Gn-Cdがえられた。この2項目より、自然治癒するか,しないかの判別分析を行ったところ,誤判別率は25%であった。 3年間の研究の結果,自然治癒する症例の臨床上の鑑別点,形態上の鑑別点,自然治癒の機転の解明,自然治癒するか否かの判別を行えた。
|