研究概要 |
向神経作用を有する新しい先導化合物を天然より見出だすため、その原料植物をペル-生薬に求めた。現地において、鎮痛、鎮静の目的で使用されている生薬を中心に12種類の植物を入手した。各植物より作成したメタノ-ル・エキスをマウスに経口投与し、一般行動観察、平常体温下降作用を観察した。また、鎮痛活性を期待して使用されていると判断される生薬に関しては、酢酸ライジング法による鎮痛活性を測定した。その結果、3g/kg投与での一般行動観察において鎮静傾向を示した生薬としては、HIERBA SANTA(Cestrum auriculatum L.),PAICO(Chemopodium ambtosioides L.),CABUYA(Fourcroya andina Trel.),MASTUERZO(Tropaoelum majus L.),VIRA VIRA(Culcitium canescens HBK)であった。有意な体温下降活性がみられた生薬はPAICO(△Tmaxー0.8℃**)のみであり、HIERBA SANTAには若干の下降傾向が観察された。酢酸ライジング抑制活性は、2g/Kg投与において、CEDRON(52.4%*),HIERBA SANTA(44.1%*),ORTIGA(69.4%**)に観察され、3g/kg投与ではVIRA VIRA(66.2%*)にも観察された。(*:p<0.05,**:p<0.01) さらに、HIERBA SANTAをとりあげ、その活性本体の単離を試みた。試料生薬が少量であったため、腹腔内投与による平常体温降下作用を指標にして行った。メタノ-ル・エキスをヘキサン、酢酸エチル、nーブタノ-ル、水で液々分配し、下降活性の見られたヘキサン画分(300mg/kg,△Tmaxー1.0℃**)酢酸エチル画分(300mg/kg,△Tmaxー1.0℃**)をさらに各種カラム・クロマトグラフィ-で分画を進めた。腹腔内投与での活性物質として、ヘキサン画分よりpalmitic acid(50mg/kg,△Tmaxー1.2℃**)を、また、酢酸エチル画分より新化合物、6ーsecーbutylー1,2,4ーbenzenetriol 2ー0ーglucoside(300mg/kg,△Tmaxー1.0℃**)を単離した。HIERBA SANTAの経口投与による活性に関してはさらに検討が必要と思われる。
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