研究課題/領域番号 |
02670945
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 雅巳 東京大学, 薬学部, 助手 (40126008)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ブレオマイシン / 活性酸素 / 不斉酸化 / 自己不活化 |
研究概要 |
制癌性抗生物質ブレオマイシンはそのピリミジン部位で鉄錯体を形成し、分子状酸素を活性化することにより、DNA中のデオキシリボ-ス部分を酸化的に開裂することが知られている。我々はブレオマイシンの錯体化学を解明するため、種々の人工ペプチドによる酸素活性化を検討してきた。すなわちピリミジン核にメトキシル基を導入したモデル化合物PYMLー6によりブレオマイシンに匹敵する酸素活性化を実現し、さらにジメチルアミノ基を持つPYMLー8ではブレオマイシンを凌ぐ125%の酸素活性化を達成するに至った。本研究ではこれをさらに発展させ、次のような成果を得た。 モデル配位子によるオレフィンの不斉エポキシ化 優れた酸素活性化能力を持つ配位子PYMLー8を用いることにより、Fe(II)ーO_2、Fe(III)ーH_2O_2、またはFe(III)ーPhIoの系でシスーβーメチルスチレンがエナンチオ選択的にエポキシ化されることを見出した。それぞれの条件によって酸化生成物の組成が異なることから、生成する酸素活性種の性質や反応性が異なることが示唆された。 ブレオマイシンの自己不活化機構 ブレオマイシンは酸素を活性化してDNAを切断するが、DNAが共存しないときには自己不活化をおこす。その機構を解明するため、モデル配位子PYMLー6をFe(II)ーO_2またはFe(III)ーH_2O_2にて処理し自己分解物を単離したところ、ピリジン核の側鎖が開裂することが分かった。上述のオレフィンの酸化反応においては条件によって異なる酸化生成物が得られたが、自己不活化の場合は条件によらず同じ分解物がほぼ同じ収率で得られたことから、オレフィンの酸化では複数の活性酸素種が関与しているのに対し、自己分解反応では単一の酸素活性種が関与していることが推察される。
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