研究概要 |
担当者らは交付申請書に示した研究実施計画に従って研究を遂行し、本年度は下記の研究実績を達成することができた。 1、含フッ素活性型ビタミンD_3の合成:我々が既に開発した含フッ素抗代謝アナログ26,27ーF_6ー1,25(OH)_2D_3をリ-ド化合物とし,D作用と細胞分化誘導作用を分離し、後者の作用を有する化合物の開発を目的として、3成分連結法を合成法の基軸とする手法により24ーhomoー24,25ーdehydro体をはじめとする数種の新規な含フッ素活性型ビタミンD_3の合成に成功した。生理活性の評価は現在検討中である。 2、核間にトリフルオロメチル基を有するステロイド骨格の合成:2ートリフルオロメチルプロペン酸誘導体のDielsーAlder反応について詳細な検討を行ない、トリフルオロメチル基を有する光学活性な四級炭素の構築法を確立した。さらに、この環化付加反応生成物を中間体に用いて核間にトリフルオロメチル基を有する双環性化合物の効果的な合成法を開発し、A,B核間にトリフルオロメチル基を有するC_<19>ステロイド骨格の最初の合成に成功した。 3、α,αージフルオロエステル類の新規合成法の開発:ヨ-ドジフルオロ酸酢エステルの銅触媒によるオレフィンへのラジカル付加反応およびジフルオロケテンシリルアセタ-ルの不飽和ケトンやアセタ-ルに対する付加反応が効率よく進行することを見出し、これらの反応を用いて、ジフルオログルタミン酸やジフルオロリジンの合成に成功した。 4、その他:フッ素化合物の反応におけるイオン反応の問題点を克服しより効果的な炭素ー炭素結合形成反応として種々のラジカル環化反応の開発を行ない,さらにジフルオロシクロプロパン誘導体に特異的なラジカル開裂反応を見い出した。
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