研究概要 |
分子設計として抗虚血活性薬剤の候補物質として1)サリチルアニリド類および2)チアジアゾ-ル誘導体,3)ビタミンK_1エポキシド,4)ステロイドおよびトリテルペノイド例えばグリチルリチン酸のジサッカライドサルフェイト,5)各種ジサッカライド(マルト-スやイソマルト-ス)サルフェイト,6)シクロデキストリンーステロイドコンプレックスについて新規合成法を検討した.とくに2)チアジアゾ-ル誘導体についてはTXー101からTXー109までの9種類の新規合成,ラットおよびカメ肝蔵ミトコンドリアを用いる呼吸活性およびインビボ抗虚血作用を調べた.設備備品として計上購入した液体クロマトグラフィ用UV検出器は,上記の合成反応物の分離,分析,精製に活用した.次に生物活性について好低酸素性動物モデルである淡水産のカメ(イシガメ及びクサガメ)を用い,敏速に肝蔵から単離したミトコンドリア(RCI=ca.3)を使い,高感度センサ-付きの生物機能測定用セルを用い,そのエネルギ-代謝特に呼吸活性およびATP合成能に及ぼす上述のチアジアゾ-ル誘導体の効果を調べた.その結果,TXー109がstate4呼吸を完全に開放したが,その時の酸素消費速度は14natomsO/min/mg proteinとラットに比べ低い値であった[TXー109:45nM(Vox max;340natomsO/min/mg protein)].さらにチアジアゾ-ル誘導体について,インビボでの抗虚血活性を調べる目的で,マウスの断頭時のあえぎ呼吸(gasping)に対する影響を検討した.その結果すべての誘導体について100mg/kg i.pでgasping時間の延長が見られ,抗脳虚血活性をもつことが示された.以上カメ肝臓ミトコンドリアを用いる生物機能実験系により抗虚血性疾患薬の開発を試みた.
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