1.レギュカルチンの臓器分布について レギュカルチン(RC)抗体を用いたRCの臓器分布の検討の結果、RCは各種臓器の中で、肝に特異的に局在することが見出された。このことは、酵素免疫測定法ならびにノ-ザンブロッティング法のmRNAの分布からも確認された。 2.レギュカルチンによる肝細胞機能の調節について 1).肝細胞質のCa^<2+>/calmodulin依存性のCAMPホスホジエステラ-ゼ活性は、Ca^<2+>ーcalmodulinにより活性化されるがRCにより抑制的に制御された。また、デオキシウリジントリホスファタ-ゼ活性のCa^<2+>による活性低下はRCにより抑制されることが明らかにされた。 2).肝細胞核の機能に及ぼすCa^<2+>の作用とRCによるその制御について調べたところ、単離細胞核において、2価金属イオンの中で、Ca^<2+>はDNAのfragmentationを特異的に促進した。RCは、Ca^<2+>によるDNA分解をほぼ完全に抑制することが見出され、核におけるCa^<2+>の作用を、RCは制御することが明らかとなった。 また、肝細胞核へのCa^<2+>の取り込みについてCa^<2+>電極計を用いて調べた結果、核においてCa^<2+>の取り込とその放出機構が依存することが明らかにされ、RCはCa^<2+>取り込みに影響しなかったが、Ca^<2+>放出を刺激することが見出された。この知見は、RCによる肝細胞核機能の調節において、核内Ca^<2+>の放出を促進することが、RCによるCa^<2+>作用制御の機作の1つとして重要であるものと考えられた。 本研究により、Ca^<2+>結合蛋白質レギュカルチン(RC)は、肝細胞に特異的に局在し、肝細胞機能のCa^<2+>に関連した調節において、その制御因子としての役割を果していることが更に解明された。
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