研究課題/領域番号 |
02671014
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
森 陽 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50057303)
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研究分担者 |
本多 厚 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70112886)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1991年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1990年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ヒアルロン酸合成 / 上皮増殖因子(EGF) / インシュリン様増殖因子-I(IGF-I) / ゲニステイン / プロスタグランジンE2 / サイクリックAMP / 細胞内情報伝達経路 / ウサギ心膜細胞 / IL-1 / プロスタグランジンE_2(PGE_2) / 心膜炎 / ウサギ心膜 / 細胞内情報伝達系 / 心膜細胞 / 上皮成長因子(EGF) / インシュリン様成長因子ーI(IGFーI) / チロシンキナ-ゼ阻害剤 |
研究概要 |
ウサギ心膜腔から心膜細胞(中皮細胞)の培養系を確立し、生理活性物質によるヒアルロン酸(HA)合成の調節機構ならびに生理的意義を解明することを目的として本研究に着手した。明かとしたHA合成の促進経路としては以下のものがあげられる。 1.受容体のチロシンキナーゼを介する経路 (1)ウサギ心膜細胞にインシュリン様増殖因子-I(IGF-I)(10-500ng/ml)、あるいは、上皮増殖因子(EGF)(10-500ng/ml)を添加すると、HA合成、ヒアルロン酸合成酵素(HASase)活性共に濃度依存的に増大した。しかし、インシュリン様増殖因子-II(IGF-II)(600ng/ml)ではこのような作用は認められなかった。 (2)IGF-I(100ng/ml)とEGF(100ng/ml)の併用により、HA合成は相乗的に促進された。 (3)チロシンキナーゼの特異的阻害剤ゲニステインにより、IGF-I、EGFによるHA合成の促進は有意に抑制された。 (4)IGF-I、EGFの受容体の細胞内ドメインにはチロシンキナーゼ活性を有すドメイン構造が存在するが、IGF-IIの受容体にはそのような構造は存在しない。以上の実験事実に基づいて、IGF-IとECFの様なHA合成の促進には、増殖因子の受容体のチロシンキナーゼを介する情報伝達系が関与することが示唆された。チロシンキナーゼ活性化以降、HA合成を導く過程に関しては現在不明で、今後の課題といえる。 2.プロスタグランジンE_2(PGE_2)などによるcAMPを介する経路 (1)ウサギ心膜細胞にPGE_2(10-100ng/ml)を添加すると、HA合成、HASase活性共に濃度依存的に増大した。 (2)PGE_2(1000ng/ml)で心膜細胞を処理すると、細胞内cAMP量は、5分間で、約7倍に上昇した。 (3)アデニル酸シクラーゼ阻害剤(2',5'-dideoxyadenosine)、及びプロテインキナーゼ(PK)A阻害剤(PKI5-24)によりPGE_2によるHA合成の促進は有意に抑制されたが、PKC阻害剤(H-7)では抑制されなかった。 (4)細胞内cAMP量を上昇させる試薬(Bt2-cAMP,forskolin等)によってもHA合成が促進された。 以上、心膜細胞が産生、遊離するPGE_2によるHA合成は、cAMPを介する細胞内情報伝達系を介して作動することが示唆された。 ウサギ心膜細胞において、少なくとも受容体の異なる上述の二つのHA合成を促進する細胞内情報伝達経路の存在について提示することができた。
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