研究概要 |
ペプチダ-ゼD(プロリダ-ゼ)欠損症は常染色体性劣性の稀な遺伝性疾患で皮膚症状・知能低下を中心とした多彩な症状を特徴としている。ペプチダ-ゼD(EC3.4.13.9)は、カルボキシル基末端にプロリンを有するオリゴペプチドを加水分解し、プロリンを遊離させるペプチダ-ゼである。我々はこの酵素の精製,cDNAの単離,一次構造,遺伝子構造の決定,遺伝子座の推定を行ってきた。 我が国の姉妹例について、解析したところmRNAに192bpの塩基の欠失が認められた。そこで、この領域を含む患者遺伝子断片をクロ-ン化し塩基配列を検討した結果、第14エキソンを含む約750bpの遺伝子欠失が確認された。 ベルギ-の症例(中東地域に由来する家系)について検討したところGからAへ一塩基置換(ヌクレオチド残基826)が認められた。発現実験では酵素活性のない蛋白が合成されていた。同じ変異がオランダの症例(これも中東地域に由来する家系)でも認められた。この突然変異は中東地方に起源を有するものと考えられる。他の家系では同じ突然変異は認められなかった。 このほかエキソンに隣接したイントロン部分の塩基配列を決定した結果、各エキソンを含む遺伝子断片を増幅・解析することが可能になった。
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