研究概要 |
1.糖質代謝ホルモンとしてグルカゴン、インスリン、ソマトスタチンの測定を行った結果、インスリンの減少とグルカゴンの増加がみられた。ソマトスタチンは不定であった。2.甲状腺ー副甲状腺系では、FT_3,FT_4,PTHの増加とカルチトニンの低下がみられた。オステオカルシンは増加した。3.水分代謝に関しては、ADH,HANPの有意の上昇がみられた。4.消化管ホルモンであるモチリン,VIP,CCK,セクレチン,サブスタンスPは不変であった。5.尿中GHは有意の増加を示した。6.60%VO_2max15分間の運動の際のT_4の代謝を調べたところ、rT_4とT_3への転換は同程度であった。これは筋肉内で5脱ヨ-ド酵素と5脱ヨ-ド酵素が同程度に活性化されたことを意味する。7.従来、生理的な量の甲状腺ホルモンは蛋白の合成をたかめ、蛋白同化作用を発揮するが非生理的に過剰な甲状腺ホルモンは異化が亢進して、血中アルブミン直は低くなり、窒素平衡は負に傾くようになると言われている。今回の研究とFT_3と総蛋白、アルブミン、トランスフェリン、シアル酸、尿素窒素において正相関がみられた。これはFT_3が蛋白代謝に同化作用的に関与していることを示す。8.FT_3斟と総コレステロ-ル、フリ-コレステロ-ル、HDL、燐脂質、ApoA_1、ApoB、ApoE、LDL、と正相関がみられた。これは脂質代謝におけるFT_3の重要性を示す。9.FT_3はALP、GPT、LAP、ChE、クレアチンキナ-ゼと正相関を示した。10.この他血中生化学物質との相関は多くのホルモンと認められたが、その意義については目下検討中である。
|