研究課題/領域番号 |
02671068
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市原 清志 大阪大学, 医学部, 講師 (10144495)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1990年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | thyrotropin / free thyroxin / epitope analysis / computer analysis / immunoassay / immuno assay / thyroxin / bioassay |
研究概要 |
大規模な甲状腺機能検査データベースから、血中TSHと遊離T4の関係を調べ、下垂体-甲状腺系のフィードバック機構に偏りがあると思われる非定型的症例を選択的に抽出し、検査診断学的な立場から、その病態の解析を試みた。初年度7700例の中から67例のTSH分泌異常例を抽出した。臨床診断では、治療中のクレチン症例、乳幼児、甲状腺癌術後例が多いことが明かとなり、それぞれの臨床経過を分析した。クレチン症例では、新生児期甲状腺機能低下状態が、治療にも関わらずその後のTSHの反応性に永続的な異常を引き起こすことが明かとなった。同様に、甲状腺癌術後の症例でも、突然の甲状腺の消失で、フィードバックのセッテポイントがずれ、その状態が長期持続すると考えられる。いずれの場合も、甲状腺ホルモン補充の目安として、TSH値をそのまま利用できず、FT4値や代謝亢進状態の有無を参考にする必要があると考えられる。 また新たに、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と遊離T4(FT4)の間の関係についても同様の解析を行い、ネガティブ・フィールドバック機構に異常を認める橋本病の患者3例を見い出した。いずれも抗TSH、抗T4自己抗体の存在は否定され、またゲル濾過や段階希釈測定でも、正常のTSHとの差を認めず、大きな、分子サイズの異常は否定された。一方、本研究に関連し、抗TSHモノクローナル抗体を利用した、TSH分子のエピトープを解析するための測定系を確立したが、本研究期間中には個々の症例の分析に応用することができなかった。従って、糖鎖構造等の微細な分子異常のある症例の存在も完全には否定できない。しかし大多数の症例は、むしろ下垂体・甲状腺系の調節に関する、原発性または2次性の機能的な異常である可能性が強いと考えられる。
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