研究課題/領域番号 |
02671085
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平井 愛山 (1991) 千葉大学, 医学部附属病院・第二内科, 助手 (10189813)
西川 哲男 (1990) 千葉大学, 医学部・附属病院・第2内科, 講師 (90092080)
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研究分担者 |
田村 泰 千葉大学, 医学部・第二内科, 助教授 (90009671)
寺野 隆 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手
平井 愛山 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (10189813)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ミトコンドリア / カルシウム / アラキドン酸 / Cーキナ-ゼ / リポキシナゲナ-ゼ / リポキシゲナ-ゼ / 副腎 / カルシウム動員 / G蛋白 / ADPーリボシレ-ション |
研究概要 |
1.ウシ副腎皮質細胞の新しいアラキドン酸代謝産物の分離同定 副腎皮質細胞は種によってステロイドホルモン産生経路に大きな違いがあり、特に動物実験に広く用いられるラット等の囓歯類はヒトと異なりコルチゾ-ル(B)産生経路をもたずコルチコステロン(F)が最終産物であり、ヒトの副腎皮質細胞でのステロイドホルモン産生調節機構の解析にはかならずしも適しているとは言えない。我々は、以前にラットをもちいて副腎皮質細胞のステロイドホルモン産生を中心に細胞内情報伝達系について種々検討した結果、多価不飽和脂肪酸の一種であるアラキドン酸の代謝産物とくにリポキシゲナ-ゼ代謝産物がホルモン(ACTH)刺激時のステロイド産生の情報伝達物質として重要な役割を果たしていることを明らかにした。今回の研究ではヒトと同じB動物であるウシ副腎皮質細胞をもちいて、最新の分析技術を駆使した結果、ウシ副腎皮質細胞では5ーHETEおよび15ーHETE、ならびにLTB_4と11、14、15ーTHETが産生されることが明らかになった。この成績はウシの副腎皮質細胞にはアラキドン酸の5ーおよび15ーリポキシゲナ-ゼ代謝経路が存在することをはじめて明らかにした点で大きな意味がある。他の種々の内分泌細胞においてこれらの代謝産物は細胞内情報伝達物質として極めて重要な役割を果たしていることは衆知のことであり、今後はこれらの代謝産物の副腎皮質細胞におけるホルモン産生の調節および細胞の増殖或いは癌化における役割について解明することが急務と考えられた。 2.細胞膜レベルでの情報伝達の調節、とくに刺激ホルモンの相互調節作用 生体においては副腎皮質細胞を刺激してステロイドホルモン産生を促進する物質としてACTHとangiotensin IIが広く知られている。これらの刺激ホルモンはステロイドホルモンの産生の促進作用だけでなく、副腎皮質細胞の増殖促進作用も併せて持っており、副腎皮質細胞の機能調節因子としては最も重要な物質といえよう。また前者はcAMPメッセンジャ-系を介して、後者はカルシウムメッセンジャ-系を介してその作用を発現するとされている。生体ではこれらの刺激ホルモンは単独で作用する場合もあるが、同時に副腎皮質細胞に作用することが考えられる。最近細胞内情報伝達系のクロスト-クという概念が確立され、異なる刺激伝達経路の相互作用と調節が注目されている。今回の研究では細胞膜レベルでのACTHおよびangiotensin IIの相互作用について、とくにACTHのangiotensin IIに対する作用を中心に検討を加えた。その結果ACTHはangiotensin IIの細胞膜受容体への結合を抑制し、受容体以降の活性化のプロセスである細胞内カルシウム動員の抑制およびステロイド産生を抑制することが判明した。この作用はcAMPの誘導体を用いても同様に認められることから、cAMP経路を介した作用であることが判明した。この成績はACTHがangiotensin IIの受容体に対してdownregulation作用を有していることを明らかにした点に大きな価値があると言えよう。
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