研究概要 |
1.RT-competitiue PCRによるグルコキナーゼmRNA量測定法の確立 Collagenase法により単離したラット膵ラ氏島からTotal RNAを抽出し,このRNAを逆転写した後にPCRでInternel standard DNAとともにCoramplificationすることによりグルコキナーゼmRNA量を測定した。この方法により,ラ氏島細胞から得られる微量のtotal RNA(1〜5μg)からグルコキナーゼmRNA量の測定が可能となった。 2.ホルモンによる膵ラ氏島細胞グルコキナーゼmRNA量の調節 単離ラ氏島をRPMI1640(+10%FCS)メジウムで培養し,種々の条件でのグルコキナーゼmRNA量の変化を検討した。(1)メジウム中のブドウ糖濃度の影響:グルコキナーゼmRNA量は2.2mM,5.5mMブドウ糖存在下に比し,16.7mMブドウ糖存在下で有意に高値を示した。(2)種々のホルモンの影響:16.7mMブドウ糖存在下で1μM Dexamethazon,10μM TzzD23zyD2,1μM GlucagonはグルコキナーゼmRNA量を有意に抑制したが,1μM Insulinは何ら影響しなかった。5.5mMブドウ糖存在下でも同様の影響を認めた。(3)その他の因子の影響:cAMPアナログであるhbutyryl cAmpは16.7mMブドウ糖濃度存在下でグルコキナーゼmRNA量を抑制した。また,この抑制に対して蛋白合成阻害剤であるcycloheximcleは何ら影響しなかった。経口血糖降下剤であるGliben clamideは5.5mMブドウ糖存在下でグルコキナーゼmRNA量を増加し,この作用はcycloheximideにより抑制された。したがって,db-cAMPの作用には蛋白合成は関与せず,Glibenclamideの作用には蛋白合成過程が関与している可能性がある。また,cGMPのアナログである8-bromo-cGMPやVanadatsは肝のグルコキナーゼ活性に影響することが知られているが,膵ラ氏島グルコキナーゼmRNA量に対しては何ら影響しなかった。以上のごとく,膵ラ氏島グルコキナーゼmRNAは肝とは異った調節機序を受けていることが明らかとなった。
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