研究概要 |
低リン血症性ビタミンD抵抗性クル病は、ビタミンD抵抗性クル病の代表的な疾患の1つである。本疾患の動物モデルであるXLHマウスを用いて、ビタミンD(1,25(OH)_2D_3)受容体(VDR)の異常の有無について検討した。 1.VDRに対するモノクロ-ナル抗体を用いてSDSーPAGE上の分子量を検討したところ、XLHマウス腸管および腎VDRは、正常マウス腸管および腎のVDRと差がなかった。 2.VDRmRNAの大きさおよび量をcDNAプロ-ブを用いてNothern blotおよびdot blot法にて検討したところ、XLHマウスの腸管VDRmRNAの量および大きさは、正常マウスのVDRmRNAと差がなかった。 3.次に、ビタミンD投与後のVDRmRNA量の変動を検討した。正常マウスでは、1,25(OH)_2D_3投与後12〜24時間後に腸管VDRmRNA量の増加を認めた。しかしながら、XLHマウスでは、1,25(OH)_2D_3投与後のVDRmRNAのup regulationは、認められなかった。さらに、1,25(OH)_2D_3投与量を2倍量に増加させたが、反応を認めなかった。 4.XLHマウスに高リン食を与え、血清リン濃度を上昇させると、核内への1,25(OH)_2D_3取り込み障害が改善するとの著者らの報告があることから、高リン食を与えた上で、XLHマウスの腸管VDRmRNAの変動を検討した。血清リン濃度は、正常マウスと同じレベルにまで回復した後、1,25(OH)_2D_3を投与したが、XLHマウスの腸管VDRmRNA量は変動せず、up regulationは認められなかった。このことから、ビタミンD抵抗性の原因の1つとして、XLHマウスにおいては、VDRの代謝調節機構に障害があることが推察された。
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