研究概要 |
1.アクチビンAのラジオイムノアッセイ(RIA) 抗血清はpolyvinyl pyrrolidone(PV)法により家兎で作製したpolyelonal抗体であり,最終希釈1:3500でRIAに用いた。ヨ-ドゲン法により標識した ^<125>Iーactivin Aを遅延添加した後,B・F分離を2抗体法で行った。Activin AーRIAの最小検出感度は0.06ng/tube,IC50は2.0ng/tubeであり,抗体はbovine inhibin(3.2%),human TGF(4.2%)とのみ交差性を示した。。Intraーおよびinterーassayの変動係数はそれぞれ3.6ー9.8%,3.4ー7.7%と良好であった。 2.アクチビンA免疫活性の性状・生体内分布とその代謝 ブタ卵胞液および卵巣抽出物の希釈曲線は,標準曲線に平行性を示し,ブタ卵胞液中のアクチビンA免疫活性は1052.6ng/mlと高値であった。ヒト胎盤抽出物(166.7ng/g wet wt).,羊水(66.7ng/ml)にも比較的高いアクチビンA免疫活性を認めた。ブタ卵胞液のゲル濾過による検討では,authenticアクチビンAの溶出部位に一致して免疫活性のピ-クが認められた。ラットでは,卵巣(157.0ng/g wet wt),精巣(83.3ng/g wet wt),精巣間質液(300.0ng/ml)に高い免疫活性を認めた。一方,中枢神経系では一般にアクチビンA免疫活性は低値(9.6ー16.5ng/g wet wt)であったが,下垂体にやや高い免疫活性(63.9ng/g wet wt)が認められた。雄ラットにおけるアクチビンAの血中消失曲線について検討すると,血漿アクチビンA濃度は静注2.5分後に2200±520ng/mlに達した後,急速に減少し,第1相のt1/2は14分であった。この間,血漿rFSH濃度には有意な変動が認められなかった。 以上より,アクチビンAの主たる産生部位は性腺組織であること(免疫染色でも陽性)が判明し,胎盤組織や羊水中にも認められたことは,アクチビンAが胎児胎盤系で成長因子として働くことが示唆された。
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