研究概要 |
我々は、t(11;19)(q23;p13)異常をもつ白血病3症例(ALL2例とAMLーM4 1例)で、19p13に局在するinsulin receptor gene(INSR)と11q23に局在するcーetsー1 geneがt(11;19)転座に伴い、どのように移動しているのかを検討した。その結果、cーetsー1 geneはALL症例でもAML症例でも11p13に移動していたが、INSR geneはALL症例では19p+の19p13の位置に留まっているのに対し、AML症例では転座先の11qーに移動していることが判明した(Mitani K,et al.Am J Hematol 31:253ー257,1989)。 このことから、同じt(11;19)転座でも、lineageの違いにより、19p13の切断部位は異なっている可能性が考え得る。前記の論文では、症例数が少ないため、この事を多くのt(11;19)症例で検討すべく、全国からt(11;19)をもつ白血病症例を集め、現在、6症例と5種のcell lineが集まっている。興味深いことに、(1)t(11;19)転座の19p13のbreak pointはdistalなものとproximalなものと2種あること、(2)distal breakpointをもつものは、AML、ALLのlineageを取り得るが、proximal breakpointをもつものは、ほとんどがAMLの形態を取るようである、ことが分かった。この2種のt(11;19)転座の症例につき、現在、in situ hybridizationの実験を行い、デ-タ-を集積中である。
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