研究概要 |
急性骨髄白血病(AML)34例、慢性骨髄白血病16例(急性転化10例、慢性期6例)、骨髄増殖症候群(MPD)5例、慢性骨髄単球性白血病(CMML)4例、合計59症例から得た白血病細胞について、G-CSF・GM-CSF・IL-3・M-CSFに対する増殖反応性並びにG-CSF・GM-CSF・M-CSF・IL-1β・IL-6・TNFαの試験管内産生能力について検討し、またこれらの白血病細胞に由来する細胞株の樹立を試み、以下の結果を得た。 (1)AMLのほとんどはG-CSFまたはGM-CSFに反応して増殖する。(2)GM-CSF反応性とIL-3反応性との間には正の相関がある。(3)M-CSFにより直接増殖刺激を受ける症例は例外的でAMLで1例だけ存在した。(4)試験管内サイトカイン産生をかなり高率に認める(G-CSF:33%,GM-CSF:38%,IL-1β:33%,IL-6:69%,TNFα:78%)。(5)GM-CSF産生とIL-1β産生との間に正の相関がある。(6)試験管内でのオートクリン増殖をAMLの4例で認めこれに関与する増殖因子はG-CSF・GM-CSFの一方または両者であった。(7)これら4例のうち3例において新鮮白血病細胞にG-CSFまたはGM-CSF産生を確認でき生体内でもオートクリン増殖が生じていた可能性が示唆された。(8)白血病細胞の試験管内生存期間と細胞分離後3日目の ^3H-TdR取り込みとの間には正の相関がありGM-CSFは白血病細胞の生存期間を延長したがG-CSFにはその効果はなかった。(9)CMMLに由来する細胞株OMK-91の樹立に成功、CD14・血小板IIb/IIIa抗原・HLA-DR抗原陽性でありM-CSF・G-CSF・IL-1βを産生そていることが明らかになった。(10)これら白血病患者に由来するBリンパ芽球様細胞株(B-LCL)を13株樹立した。
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