研究概要 |
研究は当初の計画に従って、部分純化した骨髄、末梢血のnullcellsを標的細胞として、IL-4の造血因子活性について検討した。その結果,IL-4がG-CSFと協調して好中球コロニー形成を著しく増強し、一方、IL-3とM-CSFで支持されるマクロファージコロニーの形成に対しては抑制的に作用することを明らかにした。次に、ヒトIL-6の巨核球コロニー形成に及ぼす影響について、ヒト骨髄より得たnull cellsを用いて検討した。ヒトIL-6はマウスの系で報告されているように、おもに巨核球系前駆細胞の成熟因子として作用するが、マウスと異なりコロニー形成率(PE)には影響しないことが明らかになった。巨核球系幹細胞の初期の増殖分化にはIL-3,GM-CSFが重要であり、IL-6との協調作用により成熟巨核球が誘導されると考えられた。次に、IL-4の巨核球系幹細胞の増殖分化に対する影響について検討した。その結果、IL-4は巨核球コロニーおよび巨核球を含む混合コロニーの形成を選択的に抑制することが示された。これらの知見は、FACSにより分離したCD34^+,HLA-DR^+細胞を標的細胞とした培養系においても確認されたことから、IL-4の直接効果と考えられた。次に、悪性T細胞株の産生するIL-9の造血作用について検討した。IL-9は、巨核芽球細胞株(M07E)の増殖を活性の指標としてクローニングされたが、巨核球系前駆細胞のコロニー形成を支持しなかった。さらに、巨核球の成熟促進やIL-6との協調作用も認められなかった。一方、IL-9はEpo存在下で赤芽球バーストの形成を支持した。しかし、IL-3と同時に添加しても相乗効果のないことから、IL-9はIL-3に反応する赤芽球バーストの一部を支持すると考えられた。一方、GM-CSFとIL-9を同時に添加すると相乗効果を認めたことから、IL-9はGM-CSFに反応する赤芽球バーストとは異なったポピュレーションを支持することが示唆された。また、stem cell factor(SCF)はG-CSF存在下で好中球コロニー形成を支持するが、IL-4を同時に添加すると相乗効果を認めることから、各々異なるポヒュレーションを支持すると考えられた。これらの効果は、高度に純化したCD34^+,DR^+細胞を標的細胞とした無血清培養でも認められることから直接作用と考えられた。
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