研究概要 |
ファジィ制御法としてマムダニの方法(minーmaxー重心法)がよく知られており,ソフトウェアツ-ルやハ-ドウェアにこの方法が搭載されている。しかし直観に合った方法でないことから,いくつかのファジィ制御法を提唱し,これを基にファジィ制御構築用ツ-ルを開発した。 (1)種々のファジィ制御法の提唱:マムダニの方法に対して,代数積ー加算ー重心法を提案した。この方法をファジィ制御に適用した場合,制御結果の改善が見られることを示した。また、限界積ー代数和ー重心法,代数積ー激烈和ー重心法といった数多くのファジィ推論法を提案し,minーmaxー重心法が必ずしも最良のファジィ制御法ではないことを確認した。また,代数積ー加算ー重心法によってPIDコントロ-ラを構成することが可能であることを示し,PID制御はファジィ制御の特別の場合であることがわかった。また、同方法では,同じ制御規則を複数回同時に使用することが可能であり、ファジィ制御規則に強調効果をもたせることができることができることを示した。この研究結果より,後件部がシングルトンであるシングルトン型ファジィ推論法を新たに提案している。 (2)ファジィ推論法の性質:ファジィ制御に使用されているファジィ推論法だけでなく他のファジィ推論法の性質を調べた。特に,多重ファジィ推論や多段ファジィ推論への試みは他になく大いに興味がもたれた。 (3)ファジィ制御構築用ツ-ルの開発:既存のプログラム言語であるC言語によってファジィ制御構築用ツ-ルを開発した。ファジィ変数,メンバ-シップ関数,ファジィ制御規則,ファジィ推論エンジンの取扱が可能である。また,専用の言語処理系FLIL(Fuzzy Logic Interpreter Language)を開発することにより,メンバ-シップ関数の表現やファジィ制御規則の構成が極めて容易になった。
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