研究概要 |
チャの生葉を熱水抽出し、凍結乾燥して熱水抽出物を調製した。除タンパク,除カテキン後ブタノ-ルで抽出し、目的とする配糖体混合物を得た。各成分の分離を高めるためアセチル化を行い、薄層クロマトグラフィ-(TLC)を指標として、シリカゲルクロマトグラフィ-により各配糖体を分離した。 TLC上単ースポットを示した画分は13Aー6,BAー7であった。BAー7は白色針状結晶となり、物理定数の測定および各種スペクトルの解析からBenzylーβーDーglucopyranosideと推定した。推定化合物を定法により合成した結果、全ての点で一致した。BAー6は、スペクトル解析の結果、(z)ー3ーhexenglーβーDーglucopyranosideと推定した。特にアゲリコンの構造は、標準の(Z)ー3ーhexenolとのNMRを比較することにより決定した。 チャ葉中の配糖体より、揮発性香気成分が形成されることを証明するため、生葉のアセトンパウダ-を調製し、粗酵素系のモデルとした。 配糖体を大量に得るため,生葉の代りに緑茶よりの抽出法を検討した結果、熱水抽出物を除タンパク,除カテキン後、XADー2カラムに吸着させ、配糖体画分を酢酸エチル溶出部として得た。 配糖体画分を上記のアセトンパウダ-,市販のβーDーグルコシダ-ゼによる加水分解および塩酸による非酵素的加水分解を行い、生成する香気成分をガスクロマト上比較した。主要生成物は共通であり、茶香気形成には、配糖体からの揮発性化合物の生成が重要であることが明かとなった。βーDーグルコシダ-ゼによりBenzyl alcohol,(z)ー3ーhexnolの生成が特に大きかったことは、両者がβーDーグルコシドとして存在する結果を支持するものである。
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